厚労省発表の平成30年簡易生命表によると男性の平均寿命は81.25歳、女性は87.32歳です。
平均寿命の上昇により、認知症高齢者の増加です。「平成29年版高齢化社会白書」(内閣府)では2025年の認知症高齢者数は730万人以上と言われています。これは高齢者5人に1人と言われています。認知症対策の必要性が問われています。
認知症が発症し「判断能力」が低下すると物事の損得が出来なくなり、預貯金や不動産などの管理や処分が出来なくなります。なぜなら、財産の管理や処分を行う法律上の判断能力(意思能力)が必要です。 法律上、判断能力が無い状態で行われた行為は無効となります。(民法第3条の2)
なお、脳梗塞や事故などによって判断能力が低下した場合も同様です。
介護費や医療費を捻出する場合、親名義の不動産を売却して費用を確保しようとしても、所有者である親が認知症を発症してる場合は、売買契約はできません。又、子供等親族が売買契約を代わりに契約締結することもできません。なお、銀行で親の預金等も本人以外は下ろすこともできなくななります。
認知症対策として成年後見制度と任意後見制度の二つがあります。
事前に認知症対策を行っていない場合は成年後見制度を利用するしか有りません。成年後見制度とは、家庭裁判所が運用する判断能力が不十分な人を法律面や生活面で支援する制度です。支援する人を後見人、支援を受ける人を被後見人と言います。本制度を利用すれば財産管理はできます。
但し、成年後見制度は高齢者の財産を後見人が財産の管理・売却等処分は出来ますが、その一方で、財産が裁判所の管理下に置かれ、後見人に知らない弁護士や司法書士等の専門家が専任される可能性があり、管理費用も亡くなるまで払う必要があります。
元気な内に子供等親族などを任意後見人として事前に指名しておくことができる制度です。家族等が指名されているため原則費用等も発生しません。
但し、成年後見制度と同様に財産管理(処分等)に関し必要に応じて、家庭裁判所の許可が必要です。又、金融資産の分別管理が必要になり帳簿の記帳・家庭裁判所に報告など手続き煩雑で大変です。
以上、成年後見制度(任意後見制度)は家庭裁判所の監督下で財産管理をするため、手続きが煩雑で大変です。
近年利用が急増している家族信託があります。認知症対策は、判断能力がある元気なうちにしか行うことができませんが、実際には財産凍結が発生してから専門家に相談するケースが多いのが現実です。
家族信託は元気な内に財産管理を子供(家族)などに託すことができ、認知症発症による財産凍結を防ぐ事ができます。又、相続対策として家族間で争続が起こらないよう事前に自分の意思で決めておくことができます。
家族信託というと、難しい感じがしますが、言葉通り家族を信じて託すという財産管理・承継の考え方といったシンプルな仕組みです。
信頼しあえる家族だから使える「選択肢の1つ」です。
家族信託は認知症対策と相続対策が同時に行えますが、複数の専門家(不動産コンサルタント・税理士・司法書士・測量士・弁護士等が連携して業務を行っていく必要があります。
当社は専門家グループと連携して家族信託の相談を受けます。
詳細については下記担当者までお気軽にご相談下さい。
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